「また揉めてる先生がいるみたいだけど、どう声をかけたらいいんだろう」。分会の中でそんな相談を受けたこと、ありませんか?保護者対応がこじれたとき、多くの現場では担任か管理職のどちらかが一人で抱え込んでしまいがちです。私も委員長をしていた20年の間に、この手の相談を何度も受けてきました。
文科省がついに「対応の仕方」まで踏み込んだガイドラインを出した
2026年8月、文部科学省は保護者や地域住民からの過剰な苦情・不当な要求、いわゆる「カスハラ」への対応をまとめたガイドラインを全国の教育委員会に通知しました。「学校と保護者・地域住民等とのより良い関係構築のためのガイドライン」という名前で、やりとりを録音しておくこと、一人で対応せず複数の教員で当たること、といった具体的な対処法まで例示されているのが、今回の特徴です。これまでの「毅然とした対応を」といった精神論だけでなく、実務レベルの手立てが示されたのは大きな一歩だと感じています。
タイミングとしても、10月1日からは一般の事業主にもカスタマーハラスメント防止の措置が法律で義務づけられます。学校だけが取り残されていた状況が、ようやく動き出したという印象です。
委員長時代、実際にあった「一人で抱え込んで、こじれた」ケース
私が委員長だったとき、ある学校の管理職から「保護者からの電話が長時間続いて困っている」という相談が入ったことがありました。話を聞くと、管理職が一人で全部引き取って、その場その場で場当たり的な返答をしてしまい、かえって「言った・言わない」の水掛け論になって長引いていたんです。分会として間に入り、対応窓口を一本化すること、やりとりを記録に残すことを一緒に整理しただけで、状況はかなり落ち着きました。特別なことをしたわけではなく、「一人にしない」というだけで、これだけ違うのかと実感した出来事でした。
「カスハラ」という言葉に、ちょっと違和感もある
ただ、正直に言うと「カスハラ」という呼び方には少し引っかかる部分もあります。保護者は「カスタマー」ではなく、本来は一緒に子どもを見守るパートナーのはずですよね。一部の行き過ぎた言動への対応策として「カスハラ」という言葉が使われるのは理解できますが、保護者全体を「カスタマー」扱いしてしまうと、かえって現場と保護者の距離が遠くなってしまう気もしています。ガイドラインを使うときも、あくまで「行き過ぎた言動から教職員を守るための手立て」として捉え、日頃の信頼関係づくりとは分けて考えたいところです。
分会でできる、小さな一歩
今日からできることとしておすすめしたいのは、「困ったときにまず誰に相談するか」を一枚の紙にまとめて、分会内で共有しておくことです。管理職への相談ルート、組合の相談窓口、記録の残し方。この3つを事前に決めておくだけで、いざというときに一人で抱え込む前に動けます。文科省のガイドラインは、その裏付けとして使える材料になります。「うちの分会でも、これくらいならできそう」というところから、少しずつ整えていきませんか。


