「組合に入ってもメリットがないからな」は本当か。

コラム
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各分会の人たちがオルグ活動(組合のことを紹介する)のときによく言われることととして、以下のようなこと、ありませんか?

「組合に入ってもメリットない」

ぼくは分会のみなさんが集まるときによく、逆説的にこう言っていました。

組合活動にメリットはありません。

メリットがないわけではなく、そういうメリットが見えづらく、多くの人には理解できていないという状況なのです。

この記事では、以下の観点で、「組合のメリット」について考えています。

  • そういう人たちのいうメリットとは?
  • 組合活動で得られる本当のメリットとは
  • そのメリットが維持できているのはなぜか

多くの人が求めるメリットと組合運動で得られるメリット

「組合に入ってもメリットない」という人のメリットとは多くの場合、おそらく次のような感じではないでしょうか。

  • 組合費払っても、払っているだけで、メリットがない
  • 組合に入っても入らなくても給料は減ったり増えたりする
  • 組合が私たちの生活の役に立っていない

金銭的なメリット(間接的なものも含めて)がないことと組合運動が果たしている役割がわからないこと。この2点をもとに、「メリットがない」と考えているということではないでしょうか。

組合運動にメリットは本当にないのか

では、組合活動で発生しているメリットはないといえるのでしょうか?

組合運動において、もっとも重要な課題の1つが給与や勤務条件の交渉です。

この交渉過程においては、組合の執行部など、現場の教職員の代表者が、交渉をしているわけです。教職員の給与は「人事委員会」が都道府県当局に対して発出する「人事委員会勧告」が影響を与えます。

これは、影響をあたえるだけで、実際にその勧告どおりに実施するかどうかは、当局が判断するわけです。そこで、組合は、当局と交渉をしていくわけです。

まずは、この事実が現場に伝わっているかどうかといえばどうでしょうか?

他にも多くのメリットがあると私は思いますが、この1点だけをとってみても、現場の教職員の理解度はかなりひくいのではないでしょうか?

このメリットを理解するだけでも、「組合いるよな」って思える人が一定数はいると思うわkです。

入ってても入ってなくても給料や勤務条件はよくなる?

給料や勤務条件は組合運動の重要な部分です。

ここに組合が深くコミットしているということは事実ですし、組合運動がなければ、今の状況はもっと酷いことになっているわけです。

でもこの成果によるメリットは組合に入っていても、入っていなくても享受できるわけです。

それなら、高い組合費を払って組合に入る必要はないという考えがあります。

ぼくが現場にいるときには、次のような報告がありました。

組合のやっている給与や勤務条件の運動の説明をして、組合に入ってと言ったら、「でも、ぼくが入らなくても、ぼくの給料もあがるんですよね。それなら入らないです」って言われました。

こんなふうにあからさまに言われることさえあるわけです。

「あなたが組合にはいらなくても、組合執行部は運動をすすめます。あなたの後輩も入らない、同僚も入らない・・・となっていくとどうでしょうか?組合には、組合費が入ってこず、費用がまかなえず、専従職員がいなくなり、現場の仕事をしながらでも執行部のがんばりで一定の間はなんとかなるでしょうが、その後、執行部も忙しさの中で、組合の活動ができなくなる。給与はどんどんさがり、勤務条件もどんどん悪くなる」

こんな悪い未来が見えていないのか。見えていても、自分が教員の間はまあなんとかなるだろうと考えているのか。

結論:組合運動は役に立っているけど、その動きが伝わっていないため、多くの人に組合に入るメリットが見えないというだけ

理屈を言っても、未来のことなんてわからないし、ここまで言っても、入らない人は入らないと思います。でも、ここまでの話が、具体的なエピソードとともに伝わっていくことで、「それならはいっとこ」となる人もいるわけです。

今、組合に加入している人は、いろいろな交渉の過程で執行部が動いていることや、それがなくなるとどうなるのかという危機感を持っているということ。

執行部の動きやその危機感ができるだけ解像度が高い形で、できるだけ多くの人に届くことによって、組合のメリットが見えてくるということ。

そして、現在のウェブの技術を取り入れることは、1つの選択肢であるということなのです。