「ペーパーティーチャー」見学会という希望と、その先にある課題

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宮城県で、教員免許を持ちながら教壇に立っていない、いわゆる「ペーパーティーチャー」を対象とした授業見学会が行われました。

教員免許あるが実務経験なし『ペーパーティーチャー』対象に授業見学会、“教員不足解消”につなげたい(宮城)(2026年2月19日掲載)|ミヤテレNEWS NNN
教員免許はあるものの、実務経験が無かったり 現在は退職している人=いわゆる「ペーパーティーチャー」に教える楽しさを実感したり、再確認してもらおうという授業見学会が、開かれました。

名取市の閖上小中学校で行われたこの取り組みでは、20代から50代までの11人が参加。授業見学や現場教員との意見交換を通して、不安や疑問を解消する機会が設けられました。

・新卒で講師を経験し、もう一度挑戦したいと語る30代
・学生時代に免許を取得し、異業種で経験を積んできた50代

こうした声からは、「教えること」への思いが、決して消えていないことが伝わってきます。

教員不足が深刻化するなか、このような取り組みは間違いなく希望です。
実際、教員を志していた異業界の方と出会うことは少なくありません。「本当は教員になりたかった」という声を、これまで何度も聞いてきました。

だからこそ、この見学会はとても良い取り組みだと思います。

しかし同時に、考えなければならないことがあります。


「やりがい」だけでは人は戻れない

教員不足の解消に向けて、「教える楽しさ」を伝えることは大切です。
けれども、それだけで現場に人が戻ってくるかといえば、正直そこまで単純ではありません。

今の学校現場は、余裕があるとは言いがたい状況です。

・慢性的な人手不足
・中堅教員が日々の業務に追われる現実
・若手を育てる時間が確保できない体制

新たに入ってくる人材を、丁寧に支え、育てる「ふところの深さ」を持ちたくても持てない。
多くの現場が、その状態にあります。

ペーパーティーチャーの方々が感じる不安は、「授業ができるかどうか」だけではありません。
「この職場で続けられるか」という問いが、必ずあります。

だからこそ、この取り組みと同時に必要なのは、現場の改革です。


受け入れる側の体制づくりこそが鍵

新たな人材を迎えるには、受け入れる側に余裕が必要です。

・業務量の適正化
・中堅層の負担軽減
・相談できる体制の整備
・孤立させないチームづくり

こうした環境整備なくして、持続的な人材確保は難しいでしょう。

教員不足は「人の気持ち」の問題ではありません。
構造の問題です。

やりがいの再確認と同時に、働き続けられる環境をどうつくるか。
この両輪がそろって、はじめて前に進みます。


情報発信が、組織の力になる理由

ここで重要になるのが、情報発信です。

・現場のリアルな声
・受け入れの課題
・必要な制度改善
・組織として求める支援策

これらを外に向けて発信し、社会と共有していくこと。

教職員組合が持つ本来の役割は、個々の教員の声を集め、制度や環境を改善していくことにあります。

しかし、今は「声が見えにくい」時代です。
内部で議論しているだけでは、社会にも、将来の担い手にも届きません。

ペーパーティーチャーの取り組みをどう評価するか。
何が足りないのか。
現場は何を求めているのか。

こうした論点を丁寧に言語化し、ウェブを通じて発信していくことは、組織の存在意義そのものを可視化することでもあります。


組織が「語る」ことが、未来をつくる

教員不足という社会課題に対して、
「やりがいを伝える」だけで終わらせない。

構造を変える必要性を語る。
現場のリアルを示す。
改善の方向性を提案する。

それができるのは、現場を知る教職員組合です。

そして、その発信を戦略的に設計することができれば、
組織の存在感は大きく変わります。

情報発信は広報ではありません。
組織強化の基盤です。

新しい人材を迎え入れる環境を整えるためにも、
そして未来の教員を支えるためにも、
「語る力」を持つことが、これからますます重要になります。