「引く改革」は、個人ではできない

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―― 教育を変えるために、いま必要なのは現場の“つながり”だ

東洋経済が最近伝えたように、次期学習指導要領改訂に向けて、
授業時数の見直しや教育課程の柔軟化が議論されています。
いわゆる「カリキュラム・オーバーロード」への問題意識は制度側でも共有されつつあります。

教員はもう限界、日本の教育は「足し算」で壊れてきた…"ズレる現場との感覚"次期学習指導要領に必要なのは「引く改革」と余白の再設計
次期学習指導要領の改訂に向け、文部科学省では各教科ワーキンググループの議論が本格化しています。昨年9月に公表された中央教育審議会の論点整理では、授業時数の見直しや教育課程の柔軟化、内容の重点化・精選…

実際、文部科学省や中央教育審議会の論点整理を見ても、
「詰め込みすぎている」「余白が必要だ」という認識は、制度側にも確かに存在しています。

ではなぜ、これほど長く語られてきたにもかかわらず、
現場の実感としては「何も変わらない」のでしょうか。


妥当な議論が、進まない理由

授業時数を減らすべきだ。
内容はもっと精選すべきだ。
6時間授業は子どもにとって過剰だ。

こうした意見は、決して新しいものではありません。
多くの教職員が、日々の実践の中で実感してきたことです。

それでも改革が進まない理由は、明確です。

「引く改革」は、個人では実行できないからです。

授業時数、時間割、行事、評価規定。
これらはすべて、個々の教員の裁量を超えた領域にあります。

分かっている。
必要だとも思っている。
けれど、一人では変えられない。

この構造こそが、改革を止めてきました。


善意の足し算が、現場を追い詰めてきた

日本の教育は、善意でできています。

  • 学力を保障するために内容を足す
  • 現代的課題に対応するために活動を足す
  • 安心・安全のために評価や記録を増やす

一つひとつは正しい。
しかし、それらが積み重なった結果、
子どもも教員も「回復する時間」を失ってきました。

制度上は見直しが語られていても、
現場ではいまだに「毎日6時間授業」が前提です。

構造が変わらなければ、生活は変わりません。


「個人の工夫」に頼る改革の限界

これまでの改革は、しばしばこう言われてきました。

「各学校で工夫してください」
「各教員の裁量で対応してください」

しかし現実には、

  • 工夫できる人ほど忙しくなり
  • 学校ごとの条件差が広がり
  • できない学校ほど現状が固定される

という状況が生まれてきました。

努力や熱意の問題ではありません。
制度設計と、支え合う仕組みの問題です。

そしてこの壁を、個人や学校単独で越えることはできません。


だからこそ、現場の“組織”が必要になる

改革を進めるために必要なのは、
さらに優れた理念でも、個々の頑張りでもありません。

必要なのは、

現場の教職員が、孤立せず、つながること。

授業時数を減らす。
行事を見直す。
評価を簡素化する。

これらは必ず摩擦を生みます
保護者への説明、管理職の判断、教育委員会との関係――
現場には、調整すべき相手が数多く存在します。

この摩擦を、個人が背負う必要はありません。

個人の声は「要望」で終わります。
しかし、集団の声は「交渉」になります。

さらに、つながることの力は、交渉にとどまりません。

  • 学校単独では難しい改革の試行
  • 個人では抱えきれない課題の共有
  • 実践の失敗も含めた率直な検証
  • 「何を引いたか」「どう変わったか」という知見の蓄積

摩擦が生じる改革だからこそ、
交渉と同時に、研究・共有・学び合いが不可欠なのです。


教職員組合は「守る」ためだけの組織ではない

教職員組合というと、
「権利を守る組織」というイメージが先行しがちです。

しかし本来、組合はそれだけの存在ではありません。

  • 学校を越えて実態や課題を共有する
  • 成功例だけでなく、失敗例も含めて蓄積する
  • 現場の知見を言語化し、整理する
  • 行政や管理職との交渉に耐えうる根拠をつくる

つまり、
摩擦を乗り越え、改革を前に進めるための現場装置でもあります。

「引く改革」を、
個人の勇気や自己責任にせず、
現場全体の合意と知見として積み上げていく。

それが、組合につながる意味です。


WEBSONが考える、これからの改革の進め方

WEBSONは、教職員組合向けにウェブ施策を支援する事業者として、
現場の声と制度の間にあるギャップを、日々目にしてきました。

必要なのは、

  • 正論を増やすことではなく
  • 現場の経験や試行錯誤を交渉可能な形に整えること
  • そして、学校を越えて共有・蓄積していくこと

そのために、
ウェブは有効なツールになります。

課題を可視化し、
実践を共有し、
知見を積み重ねる。

一人では難しくても、
つながれば、摩擦を越えて前に進めることがあります。


「何を足すか」ではなく、「何を引くか」

次期学習指導要領で本当に問われるべきなのは、
「何を新しく足すか」ではありません。

「何を引くのか」。

そしてその判断を、
個人や学校に丸投げしないこと。

教職員がつながり、
学び合い、
交渉と実践の両面から声をあげていくことが、
引く改革を現実のものにします。

WEBSONは、
そのための土台づくりを支えていきます。